宮崎学 自然の鉛筆
2013年1月13日()― 4月14日()
《リンゴの古木に巣をかけたフクロウ》2007年
宮崎学は70年代始めから自作の赤外線センサー付きロボットカメラを使い、森のヴェールに覆われた野生動物たちの姿を撮影してきた写真家です。狩人のような洞察力と最新鋭の機材を駆使することによって、動物自身にシャッターを切らせることを可能にしてきました。

本展のタイトルは、写真術の発明者の一人であるウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットの世界初の写真集『自然の鉛筆』から付けられています。「自然の鉛筆」というタイトルには自然(光)が自ずから描く自画像としての写真という意味が込められており、宮崎の手法とも重なるものです。宮崎はこれまで黙して語らぬ自然を写真という視覚言語に翻訳してきましたが、近年人間の生活空間の近くに出没する野生動物や人間の手によって持ち込まれた外来動物の姿は、現代社会を映し出す鏡のようにも見えます。

美術館での初個展となる本展では、第9回土門拳賞を受賞した「フクロウ」をはじめ「けもの道」「死」「柿の木」「イマドキの野生動物」シリーズなど代表作約170点を展示します。「自然界の報道写真家」による知られざる野生動物たちの姿をご覧下さい。
われわれは自然についてどれだけ知っているのだろうか?

《カメラにいたずらするツキノワグマ》
宮崎が人家近くに設置したロボットカメラで遊ぶツキノワグマの様子。日本を代表する大型野生動物のツキノワグマは、その生態もヴェールに包まれていたが、こうしたロボットカメラの発達によって明らかになりつつある。
《フクロウ》
『フクロウ』で第9 回土門拳賞(1990年)を受賞。立ち木を設置しフクロウを徐々にライトに慣らせることで森の中に撮影スタジオを製作した。真っ暗闇の中を飛翔するフクロウの姿を撮影するのは至難の業だが、特殊センサーの発達で可能になった。
《雪の上で静かに死んだニホンジカ》
動物の死骸がさまざまな生物たちによって分解され、土に還っていく様子をロボットカメラの定点観測で撮影した「死」のシリーズ。
「自然の死によって生命は、絶えることなく、連綿とつらなっていることを、私は自然から学んだのである」
(宮崎学『死』より)
関連イベント
◎対談
「自然・写真・人間」 
宮崎学 × 小原真史(当館研究員)
日時:1月13日(日)午後2:30–4:00
料金:無料(当日観覧券が必要です。)
定員:150名
参加方法:お電話にてお申し込みください。055-989-8780

◎作家によるギャラリートーク
日時:1月19日(土)午後2:15–3:15
料金:無料(当日観覧券が必要です。)
申込み不要(受付カウンターの前にお集まりください。)

日時:4月13日(土)、4月14日(日)
午後2:15より(約1時間)

料金:無料(当日観覧券が必要です。)
申込み不要(受付カウンターの前にお集まりください。)

◎学芸員によるギャラリートーク
日時:毎週土曜日(1/19、4/13除く)午後2:15–(約30分間)
料金:無料(当日観覧券が必要です。)
申込み不要(受付カウンターの前にお集まりください。)
宮崎学(みやざき・まなぶ)
1949年長野県生まれ。自然と人間をテーマに、社会的視点にたった「自然界の報道写真家」として活動。自作の無人撮影装置を使うことによって、撮影困難な野生動物の生態を数多く写真に収めている。日本の猛禽類の生態写真に関しては、第一人者として知られている。近年は日本各地の獣害対策のアドバイザーも務める。
1978年『ふくろう』で第1回絵本にっぽん大賞、1982年『鷲と鷹』で日本写真協会新人賞、1990年『フクロウ』で第9回土門拳賞、1995年『死』で日本写真協会年度賞、『アニマル黙示録』で講談社出版文化賞受賞。他写真集/著書多数。
開館時間=[1月]10:00―16:30 [2・3月]10:00―17:00
     [4月]10:00―18:00 ※入館は閉館の30 分前まで
休館日=水曜日 ※3/20は開館、翌日休館
入館料=一般800(700)円、高・大学生400(300)円
    中学生以下無料  ※( )内は20名以上の団体料金
アクセス
: 〈東京方面〉東名裾野I.C.→R246経由、沼津方面へ10km
〈名古屋方面〉新東名長泉沼津I.C.または東名沼津I.C.→伊豆縦貫道(無料区間)へ、長泉I.C.出口右折、R246経由7km

電車: JR東海道線「三島駅」下車、北口3番乗り場発、無料シャトルバスあり(所要時間25分)

無料シャトルバス[三島駅 ⇔ クレマチスの丘]時刻表


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《テン》
赤外線に反応して自動でシャッターが切れるロボットカメラを森の中のけもの道に設置。動物自身にシャッターを切らせることで、知られざる野生動物の生態を知らしめた。
《廃棄スイカに群がるイノシシ》
食料の廃棄だけでなく農作業やお墓のお供えものなど人間の活動の多くが「無意識間接的餌付け」になっており、野生動物が人間の生活圏に頻繁に出没する要因になっていると宮崎は言う。